KING CRIMSON Part 1
東京公演の会場はBunkamuraオーチャードホール。なんともオシャレなところで演るじゃないですか。20代半ばくらいの女の子だけの4人ほどのグループなんて見かけました。プログレといってもYesやELPにはいましたが、King Crimsonのコンサートには絶対いなかったような層です。
今回の編成は以下の通り。
Robert Fripp - Guitar, Synthesizer
Jakko Jakszyk - Lead vocal, Guitars
Tony Levin - Bass guitars, Chapman Stick, Upright Bass, Backing Vocals
Mel Collins - Saxophones, Flute
Pat Mastelotto - Percussion, Drums
Bill Rieflin - Drums, Mellotron samples, Percussion
Gavin Harrison - Drums
Jakszyk・CollinsはKing Crimson公式カバーバンド21st Century Schizoid Bandとして活動し、Fripp・Jakszyk・Collins・Levin・Harrisonの5人は2011年にA King Crimson ProjeKctとしてアルバム"A Scarcity Of Miracles"をリリースしており、Levin・MastelottoはThe Crimson ProjeKctとして活動していたわけで、この流れはある程度予想はついていたのですが、ドラマー3人という編成は驚きですね。…だったのですが、
本ラインナップによるライブアルバムであるこちらの方がイマイチ満足出来ないものだったので、1回は観に行きたいけど2枚もチケット当たっちゃってどうしようかなーという不安もありました。
とりあえず、席がめっちゃいいです。会場にはSEとしてFrippによるサウンドスケープが延々と流れており、気分は盛り上がりますね!開演時間が近づき、ナレーションが入ります。真面目な声で「演奏終了後、ベーシストのトニー・レヴィンがカメラを取りましたら撮影しても構いません」というもんで会場が一瞬爆笑の渦に。その後、Frippの声によるナレーションが入ります。「演奏中は目と耳で楽しんで欲しい。でも演奏が終わってベーシストのトニー・レヴィンが(以下同上)」という感じ。で、客殿が落ちてメンバーが登場です。最初はサウンドスケープをバックにMelがフルートのアドリブを、Tonyがアップライトベースをボウイングで弾き始めて、オーケストラのチューニングの様な感じに。それが収まると、Tonyはチャップマン・スティックを構えます。今回は70年代の作品がメインのセットリストだから意外。3人のドラマーがパーカッションアンサンブルを始めます。そしてFrippはボリュームペダルを絞った状態からコードを8分音符で刻み始めます。そう、最初の1曲は…
1. Lark's Tongue In Aspic Part 1
まさかこの曲をライブで聴けるなんて…!7拍子のリフのところで失禁しかけた。しかもそれを大人の雰囲気のスーツ姿でキメるんだから…。ちなみにギターのかなりの割合をJakkoが弾いている。PatのパーカッションはさながらJamie Muirのよう。彼が当時使っていたような鳴りものをアレコレ使い分け、アンサンブルを楽しいものにしている。曲が一旦収まったところでMelがフルートで長いソロ。そして重厚かつエスニックなエンディング。間髪入れず始まるのは…
2. Pictures Of A City
迫力のアンサンブル。やはりKing Crimsonの曲には管楽器がよく似合う。ドラムはやっぱりスタジオ版のMichael Gilesが素晴らしすぎるので比べたくないが、それでもオリジナルに並ぶ素晴らしく緊張感のある演奏でした。Jakkoの歌は21st Century Schizoid Bandの時より数段素晴らしく、ここからさらに連べ打ちされるであろう名曲群への期待が膨らんでくる。次に演奏される名曲は…
3. Epitaph
nord waveでメロトロン・サンプルを奏でるのはBill。この曲ではPatは「バッキング・ドラム」(笑)という感じ。Gavinと二人でMichael Gilesひとり分のドラムをやっている印象。Frippのギターがあまり印象に残らない。歌前のリードは弾くが、バッキングはJakkoに任せ、間奏でソプラノサックスのソロを取るMelをファズの掛かった低音で支える程度。Jakkoは往年のGreg Lakeのような堂々の歌いっぷりをアルペジオを綺麗にキメながら披露。
4. Radical Action (To Unseat The Hold Of Monky Mind)
5. Meltdown
メドレー形式で、往年のプログレッシヴ・ロック感のある新曲。1970年代から2000年代までのエッセンスを上手くまとめた曲で、Jakkoの歌やMelのサックスも光っている。ちょっとよく覚えてないけど、ここでもTonyはスティックを弾いてたかな。ちゃんと新曲をやってくれて、それがまたカッコいいってのが嬉しいじゃないですか!
6. Level Five
間髪を入れず始まるものだからこれも組曲の一部のように聞こえた。Adrian Belew時代の曲にも、Melのサックスはしっかり溶け込んじゃうのが凄い。1970年代の曲を多く入れたセットリストにもこの曲は驚くほどよく馴染んでいた。Patはあまりストレートなドラムを叩かず、ほぼパーカッションなのだが、時々叩く細かいフィルインがカッコ良過ぎる。あと肘や手首があまり動かない独特過ぎるストロークが印象的。
7. Peace - An End
一旦静まり返ったところで、Jakkoがアカペラで歌い始める。てっきりギターはFrippが弾くと思っていたら、なんとJakkoが一人二役。彼はGreg LakeともJohn Wettonとも、もちろんAdrian Belewとも違うけどKing Crimsonの音楽に良く合った声の持ち主なだけでなく、Frippのギターも違和感なく弾きこなすのが凄い。
8. Hell Hounds Of Krim
新曲…というかドラムのトリオ演奏かな。カッコいい。ライブでこそ、トリプルドラムスは輝いている!ナマで観ていると目も耳も自由にフォーカス出来る。音源や映像ではなかなかそうはいかない。2階でステージを見下ろすことが出来たぶん、トリプルドラムスの良さをより感じることが出来た。
9. The ConstruKction Of Light
2000年以降のスタジオ版、正直あまり楽しんで聴いて来なかったのであった。でもライブで観ると素晴らしい。これだからライブって楽しいんです。これまたMelのサックスは良く馴染んでいるし、Jakkoのギターは素晴らしい。素晴らし過ぎてFrippはややサボり気味(笑)。
10. The Letters
ここでIslands収録曲。破綻スレスレのアンサンブルとJakkoのエモーショナルな歌を楽しめますね!静と動のダイナミクスがスタジオ版以上に強調されている印象でございました。JakkoはBozより歌が上手い。
11. Banshee Legs Bell Hassle
Live At Orpheumに入っていた曲…っていうんだか演奏、っていうんだか。同アルバムではあまり印象に残らなかったけど、生で観るともう何やっててもカッコいいしか思わない。
12. Easy Money
Wetton・Bruford在籍時の名曲に雪崩れ込む。TonyがイントロのJakkoのスキャットにハーモニーをつけるのがカッコいい。ここでもBillはメロトロンに専念。Gavinがメインのドラムを担当し、PatはJamie Muirパート。オリジナル音源からサンプリングしたと思われるフレクサトーンや笑い袋、バッグのジッパーを閉める音などをMIDIパッドで鳴らしている。中間部のインストセクションではツインドラムのアツい演奏に対してメロディー楽器陣はクールにキメる。最後はJakkoがエモーショナルなスキャットを歌い上げ、それが異様にカッコいい。
13. Talking Drum
14. Lark's Tongue In Aspic Part 2
Frippがシンセサイザーで不思議な音のパッドを奏でる中、Gavinがトーキング・ドラムを叩き始める。こうした演出はJamie Muir脱退後は初めてなんじゃないだろうか。Tonyのベースはスローアタッカーを掛けているのか、ファンク・フィンガーで演奏しているにもかかわらずアタックが全く聞こえない。そしてLTIA Pt2に突入。オリジナルのバイオリンも良かったけど、この時期のCrimの曲にも管楽器が似合う。というより管楽器の方が似合う。Melの42年振りのCrim復帰…もう祝うしかない!ありがとうMel Collins!
15. Starless
スターレス高嶋氏は今日初めてFripp/ King Crimsonが目の前で演奏するStarlessを聴いたはずだ。Billのメロトロンに導かれて出てくるFrippの太いファズギターの音色には涙腺が緩むのを禁じ得ない。後半のインストパートはテンポこそやや遅いながらも、John Wettonのソロ公演で演奏されるものより数段カッコいい。ベースがもっと歪んでいると良かったんだけど。Melのサックスソロは素晴らしかったが、歌と絡んでいるところの方がもっと好きだったりした。そんなこんなで本編終了。Tonyがカメラを取り出したので…。
写真、撮るよね。当然。メンバーが一旦退いて、アンコールを求める拍手がクレッシェンドしていくと、早めにメンバー達が戻って来ました。FrippがMIDIキーボードの上に置いてあったデジカメを持ち上げ、「撮影タイムは終わりだよ」と言わんばかりに降ろして再び置き、ギターに手をかける。
16. Devil Dogs Of Tessellation Row
ドラムアンサンブルで、後半からウワモノ陣が入ってくる…だったと思う。
17. In The Court Of The Crimson King
なんと意外な選曲!あっさり味ながらも重厚という、本家ならではの仕上がり。Fripp、殆ど弾いてない(笑)。Melのフルートソロがかなりオリジナルに忠実。PatとGavinのドラムスは小技が利いていて面白いな〜!Jakkoの歌は、この曲で特に21st Century Schizoid Bandでの歌を彷彿とさせた。
18. 21st Century Schizoid Man
やはり、このKing Crimsonのコンサートの最後を飾るのはこの曲が最も相応しい。昔、Tonyは自身の四重唱で作った"King Crimson Barber Shop"というオマケ曲で"We don't do 21st Century Schizoid Man but we're the King Crimson band"と歌っていたが、これをやるわけである。正確には1990年代のダブルトリオ期にもやっていたが、完成度は今回の方がはるかに上だろう。中間部の演奏の緊張感はオリジナル・バージョンのレベルを望むべくもないが、オリジナルメンバーのライブでさえそうだったんだから気にすることではない。カッコ良さには変わりはないし、挿入されたGavinのドラムソロが凄まじい馬鹿テクで圧倒される。曲中の3人のドラムアンサンブルも目が離せない。最後のカデンツァが終わり、本日の演奏曲は全て終了した。
で、再び撮影タイム。こんな感じで2015年12月7日の初演は幕を閉じた。予想の数倍以上よかったので、12月10日が楽しみで仕方ない。そして、さらにもう1公演観に行くかもしれない。
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