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ネパールの旅 第7話:空からも海からも

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ヒマラヤを見た感動も冷めぬまま、ホテルに帰る。お茶と朝食を取りながら、本日の予定を考えることにした。

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プーリーと、バジ…ムンバイ風、マッシュした野菜のトマト・スパイス煮込み…のセットを注文した。なかなか良い味だ。味・量ともに、こういう朝食が自分には一番合っていることに気付いてしまった。

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ホテルからヒマラヤが見える、素晴らしい天候。ここはやはり、空からもヒマラヤを見ておくべきなのではないか。なんせ、エベレストを見られる日程には天気が良いとは限らない。

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そういうわけで、パラグライダーで空に舞い上がることにした。オフィスまではスタッフのバイクの後ろに乗っていく。バイクの後ろに乗るのは10年ぶりだったが、恐怖心はなく、風が汗を乾かしていく心地よい冷たさ、流れていく街の景色に魅せられた。オフィスからはジープでサランコットに久しぶりに登る。今度の道は最高に揺れ、肩や頭を何度も車の窓にぶつけることになった。

離陸地点に着く前にいったん止まり、パイロットをピックアップする。ヨーロッパの何処の出身だろうか、アメリカともイギリスとも違う発音の英語でしゃべる白人が「君のパイロットをやる。よろしく」と握手を求めてきた。車を降り、離陸地点に向かう。丘の斜面は、しばらく行くと崖になっていて、覗き込むことを想像するだけで下腹部からムズムズした感じが上がってくる。周りには、怯えた顔の挑戦者もいて、パイロットに「まだ怖いかい?」と訊かれている。僕のパイロット…名前は忘れた…が立小便から戻ってきて、準備を始める。
「仕事は何をしてるんだい?」
僕は答えた。
「すごいなぁ!僕の仕事はこれさ」
「いや、あなたの仕事こそ尊敬に値しますよ」
パイロットは僕の体にシートを固定する。そして、崖を指差した。
「あの方向だよ。いいかい?最初は歩く。そして、『走って』と言ったらそのまま走るんだ」
言いながらパイロットは僕の体を彼の体にハーネスで固定していく。
…そして、出発時間が来た。僕は言われた通り、歩き出した。舞い上がったパラグライダーの帆布が風を受け、僕たちは後ろに引っ張られる。
「よし、走れ!」
僕は従った。数歩走ったところで、僕の足は地面を離れた。

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飛び上がると、丘の上から見下ろすポカラの街並みとフェワ湖が、まるで精密なジオラマのよう。そして後ろを振り返る。サランコットから見たマチャプチャレが上の写真だとしたら、

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空から見たマチャプチャレはこうだ。我々をぶら下げたパラグライダーは丘の上空1000m以上まで舞い上がる。
「あの鳥はなに?鷹?隼?」
すぐ近くを飛ぶ鳥を指差して僕は訊いた。
「あれはHimalayan Griffonさ。羽を広げると2mもあるんだぜ」
パイロットは答えた。
パイロットはビープ音の種類で上に上がるか・下に降りるか・そのままの高度をキープするかを判断する。高度を上げてはぐるりと下の景色を見まわすように旋回する。30分ほどこのように過ごし、尾根に沿ってパラグライダーは下降し、フェワ湖の端の着地点に降り立った。

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午後はビザエ君のおすすめの魚料理を食べに、フェワ湖対岸のレストランにボートで行く。

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ビザエ君の甥が、途中で漕ぎ手を交代。彼は我々の前では酒もタバコもやれないし、一人だけ英語も日本語も話さないので、申し訳ない感がいつでも漂うものだから、彼が楽しそうにオールを漕いでいるのを見ていると、こちらも楽しい気分になる。

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フェワ湖からから見るポカラの景色も、また素晴らしい。しかしながら、午後になって少し曇ってきて、残念ながらヒマラヤは見えなくなってしまった。

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レストランについた。ネパール人は作り置きということをしない。今回もその例に漏れず、我々が注文してから料理が始まる。ビールを飲みながらおしゃべりをして、我々は時間を潰した。

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なんと2時間以上たって、ようやく料理はやってきた。Y女史の頼んだチョウミンはとっくに来て、彼女の胃に収まっていた頃になって、だ。

魚は鯉だろうか。また、ダールはネパールでも珍しい、煮込むとトロミのつく豆…名前は忘れた…とジンブー(ワケギの一種を干したもの)が入っている。カリフラワーとジャガイモのタルカリ、ゴルベラ・アチャール(トマトのマリネ)を添えた、ダルバートである。ネパールでは「バート(ごはん)」といえば、もうダルバートのことだという。そして、単に「魚」というだけで、魚のダルバートがやってくる。まあつまり、我々は「魚定食」を注文した訳だ。

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手洗い場の近くに唐辛子が生えている。こんなに白い唐辛子を見たのは初めてだ。辛いが、独特の風味がする。これは食欲をあおる。これをかじりながらだと、ご飯がどんどん入ってくる。

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とくに魚の料理は、手で食べるに限る。インドやネパールでは、魚は鱗と内臓を取ったものをぶつ切りにして鍋に入れるから、スプーンで食べていては骨に苦労するわけだ。そして、こういう料理は手で食べた方が美味い。日本料理でいうなら、寿司についても同じことが言えるでしょう?待った甲斐のある、上々の味だった。

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ティハール4日目は、牡牛と女の子の日。女の子が家や店を回って歌と踊りを披露し、お菓子やお小遣いをもらう。ネパールのフォークソング「レッサム・フィリリ」を初めて聴いた。「そういえばそんな名前のお店があったな」と思い出していた。

結構遅い時間になってしまった上に、やっぱりお代わりを結構したものだから、お腹いっぱい。この日の夕食はパスとなった。ビザエ君とその友達と飲んだ後、ホテルに戻ってビザエ君とサシで飲んで夜更かしとなったのである。

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