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キミタチ・サイコダヨ!

Uk03

伝説のプログレッシブ・ロックバンドUKのライブを観てきた。

John WettonとEddie Jobsonが組むのは、一昨年末のポーランドでの単発イベント以来だけど、本当にUK名義でライブをやるのは、32年ぶりなのだ。

この記事はプログレな方以外は置いてけぼりで行きますので、悪しからず。

<全公演終了したので、加筆した上で、見やすい色にしました。>

今回のメンバーは、

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Eddie Jobson (keyboards, electric violin)

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John Wetton (vocals, bass guitar, acoustic guitar)

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Alex Machacek (electric guitar)

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Marco Minnemann (drums)

以上の4人編成。ホントはもちろんAllan HoldsworthとかBill BrufordかTerry Bozzioにいてほしいところだけど、まあJohnとEddieがいれば万事UK!ってことにしよう。

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仕事が終わって、川崎に到着。

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クラブチッタ前はもう凄い人だかり。さすが、ほぼ唯一ヘッドライナーでツアーをした日本だけのことはある。ドリンクを買うのすら大変だったよ!

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開演前に「お客様へのお願いです」とアナウンスが入るもんだから、てっきり「UK! UK!」コールの練習でもさせられるのかと思ったけど、違った。やればよかったのに。指定席のチケットなのだけど、ウズウズして座っていられない。幸い通路側で、すぐ横は立ち見席。僕は立ち見席で立って観ることにした。

SEはFrank ZappaやらGenesisやら、そっち系の皆様が好きそうかつ、無節操でもある選曲。で、なにやらパーカッシブなノイズが、あのリズムを…伝説の7拍子を…刻み始めた。



01. In The Dead Of Night
最初にEddieとJohnが姿を現しお互いの肩を抱いて客席に手を振る。もう場内は大興奮!しょっぱなから「UK! UK!」コールだ。そしてMarcoとAlexも登場。Eddieがバックで鳴っているリズムに合わせて自ら手拍子をしながら観客の手拍子を煽る。やおらJohnがAsia時代に使っていたGibson Victory Artist Bassを手に取り、あのリフを刻み始める。AlexはSteinbergerのギターでユニゾン。始まるのはもちろん、UKのファーストアルバム1曲目にして代表曲だ。Eddieは2台のMIDIキーボードで、おそらくソフトシンセをコントロールしている。あの往年の分厚い音ではないが、彼独特の和音やフレーズを奏でれば、そこに聴こえるのは紛れもない「Eddieの音」だ。アドレナリン全開である!!だって、JohnとEddieの揃ったUKだもん!Alexの音は、無気味なほどAllan Holdsworthそっくりだ!!あの、バイオリンを思わせるスムーズにうねるリードギター!!

02. By The Light Of Day
Presto Vivaceから始まらなかった時点で予感はしていた。そう、これはアルバムでは3部構成の組曲になっていたものの再現なのだ。ライブでこういうやり方をしたのは、これが初めてではなかろうか。それにしても、今日のJohnの声はよく伸びる。太く、しかし透明感があって、美しい。Eddieは曲中、青いクリスタルのバイオリンに持ち替える。ライトがバイオリンに反射して、なんとも幻想的で心を奪われる。彼のバイオリンの音はファズと軽いフェイザーが掛けられた、「あの音」。あたかもステロイドを注射したエレキギターのように、太く伸びる破壊的な音だ。実に美しい。ここでは、手の空かないEddieの代わりにAlexが、ステージ上手に用意されたキーボードでバッキングを演奏していた。

03. Presto Vivace And Reprise
組曲を締め括る楽章の始まりを、Marcoの5拍子のドラムが告げる。Eddieのヒステリックなフレーズが客席の熱を上げていく。Eddieの鍵盤の音は冷たいのに、聴く者の血液の温度を速やかに高めていくのだ。これに合わせてヘッドバンギングしたり拳を振り上げるのがプログレのライブを観る気持ちよさだと思っているのは、どうやら会場では僕だけらしい。嵐のようなフレーズ、ボーカル部分ともに半分サイズで締めた。

04. Danger Money
間髪置かずにMarcoのカウントから始まるのは、セカンドアルバムの1曲目。UKの音楽の完成形の一つだ。さすがにイントロのポリフォニック・シンセサイザーの音は、往年のYAMAHA CS80のようなガッツがない。しかし、そこに絡んでくるリードの粘るサウンドは、アルバムそのまんまだ。ある意味、当時以上にオリジナルの音に近い。今回は、3人UKの頃と違い、誰もコーラスを取らない。この曲でのJohnは一人で全ての歌詞を歌うのに苦労していた。一部、ボーカルラインをAlexのギターで演奏し、コーラスの役割を担わせたりJohnが歌いにくいところを穴埋めしたりしている。さらにディレイを上手く使って、隙間があいたり歌詞が尻切れトンボになったりしても違和感ないようにしている。歌詞…そういえば、今回のJohnの足元にはペダルベースがなく、歌詞を表示するディスプレイだけが設置されている。中間部のRed風セクションでは、Johnがユニゾンに参加していない。惜しい!しかし、めくるめく変拍子に心をかき乱され、観ているものはもう、UKの音楽の世界に完全に閉じ込められた。

05. Thirty Years
ここでJohnがMCする。「これ、聞きたかっただろ?」といわんばかりにニヤッとしながら、あの伝説のセリフ。「コンバンワ。キミタチサイコーダヨ!」…79年以来定番になっている彼のセリフ。だんだん発音が良くなってきているのが、ある意味残念とも言える。勿論大ウケだ。Eddieは79年のライブを観に来た人に手を上げさせる。「ちょっとかな…おおっ、多いね!」と嬉しそう。MCを「あれから30年。30年といえば、この曲さ」というセリフで締めて、奏でるのはこの曲。まあこの曲、僕は中間部の部分が不自然過ぎてあんまり良い曲だとは思っていなかった。ところどころでは好きなんだけど…。でもさ、やっと観られた憧れのバンド。何をやっても愛おしいもんだよね!今回は、いい曲だと素直に思っちゃったのだ。

06. Alaska - Time To Kill
Eddieの分厚いシンセサイザーの織りなす、オーロラのように冷たい煌めき。この曲ではソフトシンセの薄っぺらさは気にならない。CS80だけでなく、低音部にはmoog Taurusベースの音も配置されている。本物より固い音だが、これが耳をブリブリと刺激する。たくさんのペダルとシーケンサーを使っているとはいえ、たった2台でスタジオ盤の音を完全に再現している。今回のEddieはオルガンのLeslieスピーカーのスピード切り替えに至るまで、スタジオ盤を完全再現しようとしている様子が目立った。Time To Killでは、コーラスがないのが残念だ。仕方ないのでこっそりコーラスのラインをsing-alongする。

07. Starless
大のKing CrimsonファンのEddie Jobsonのこと、今回だってKing Crimsonの曲をやりたいに決まってる。そんなわけで高嶋政宏「こわれるくらい抱きしめたい」のB面曲としても有名なこの曲だ。Eddie JobsonがMellotron(…のような、そうでもないような…)の音を奏でるのには、かなりの違和感があるが、ほぼ完コピで進んでいく。当然、楽器を弾きまくりたい人々が4人中少なくとも3人なわけで、後半の変態ブルースセクションも演奏する。Eddieはここで青いクリスタル・バイオリンに持ち替え、Mel Collinsのサックスばりに絶叫のソロだ。ところどころ13/8拍子に乗れていないが、もちろん大目に見ようではないか!だってカッコいいもん!

08. Carrying No Cross
Alexはステージ裾に引っ込む。そしてディレイを駆使した、不穏なシンセサイザーの蠢き。…そして、"Stop!"。今回、リハーサルが充分でなかったか、あの変則的なシンセサイザーとドラムのアクセントは再現されていないが…。この曲は12分と長く、ほぼオリジナル通りに演奏されているが、好きな曲なので長さは気にならない。途中のシーケンスの音が左右だけでなく前後にもパンしていく。その様に脳を撹拌されていく。例によって、オルガンのLeslieエフェクトのスピード切り替えまで、丁寧にスタジオ盤を完コピだ。芸の細かい人である。常日頃思うのだが、Hammond C-3もProphet 5もminimoogもCS80もCP70も、Eddieが弾くとEddieの音にしかならないし、実際にこれらの楽器を使っていない今回のライブでも、やはり「Eddieの音」そのものだ。単純に「弘法筆を選ばず」ともいえないのだが、ともかくそうなのだ。メジャー7thの音や4度重ねにところどころ増4度を混ぜる彼独特のハーモニーセンスによる、とも断言できない。ひんやりとした、氷のようなのにどこか暖かい、彼だけのサウンドだ。

09. Marco Minnemann drum solo: Zero 1
最初は…「ああ、やっぱりこの人のドラムはつまらんのう」などと思いながら観ていた。2009年のUKZでのプレイには感銘を受けたはずなんだが、聴き慣れてしまったのかな…。しかし段々と大道芸的な見応えのある大技・小技が続々繰り出されるようになる。これには圧倒される。そして終盤には日本の唱歌「故郷」の譜割りでのドラミングで日本の観客にアピールだ。そして、全体的にはやっぱり凄い!!

10. Eddie Jobson violin solo: Zero 2
Eddieがイエロー・クリスタルのバイオリンを手にステージに戻ってくる。ファズをバリバリに効かせ、エレキギターのようなフィードバックからEddieのソロは始まる。メロディというよりは狂気のノイズの応酬で、非常にアグレッシブだ。後半ではクリーントーンでのメロディも。せっかくだから"Walking From Pastel"もやったらどうかと思ったのだが。

11. John Wetton solo: Book Of Saturday
手根管症候群を近年患っているせいか、Johnは第2期UKのように暴力的なブリブリサウンドでベースソロを弾くことよりも、アコースティックギターでこの曲を歌うことを選んだ。Johnの声は美しいけど、この曲は弾き語りじゃつまらんよ。でも、ギターも頑張っていて、オリジナルのフレーズを極力再現している。

12. Nevermore
メンバーが再び全員揃う。Eddieが「オリジナルのUKでは演奏しなかった曲さ。昔は指がついて行かなくてね。特にAllanは正確に弾けなくて」と曲を紹介。この変てこメロディの曲をやるとは…!イントロのアコースティックギターの音はEddieが担当。そこにAlexがAllanまんまのリードを紡いでいく。そして歌…やっぱり変な、捉えどころのないメロディだ…!浮遊感のあるインストセクションは、カッコいい!実はこの曲の魅力に最近ようやく気づいた僕です。Eddieはまたもや、アルバムでのCS80のモジュレーションサウンド「キョワン、キョワン、キョワン、キョワワワワワワワワババババババブシャー!」というサウンドまで再現する気の配りようで泣かせてくれる。実はこの曲、去年のU-Z Projectでの来日公演でも演奏したらしいね。

13. One More Red Nightmare
King Crimsonに入りたかった男(勝手な想像だが)Eddieの選曲なんだか、ここでまたしてもKing Crimsonだ。とはいえ、Starlessもこの曲も、Eddieがライブでやっているのを聴いたことがない。それにこれは大好きな曲なので嬉しい。しかし、リフの間隙に繰り出すMarcoのドラムのつまらないこと。ここはBill Brufordのプレイを完コピした方が無難だったと思う。サックスソロの代わりに、Eddieがシルバー・スケルトンのバイオリンで白熱したソロを吐き出す。凄まじいエネルギーだ!バイオリンからキーボードに戻るとき、ローディーに手渡すことができず、鍵盤にバイオリンを乗せて右手で弓を持ったまま演奏。ちょっとグラグラしているバイオリンを心配そうに見守りながらのプレイが記憶に残った。

14. Caesar's Palace Blues
前曲から引き続き、Eddieがバイオリンがロングトーンを奏で、それはこの曲のイントロになった。この曲が来るということは、おそらく本編は最後。僕は最初から最後までヘッドバンギングしっ放しであった。この曲には、究極のシンコペーションがある。何処までも引っ張られてドライブしていくのだ。観客の興奮は最高潮だ!!Eddieの煽動にあやつられ、サビはsing-alongだ。

15. Sahara Of Snow Part 2
前曲が途切れないまま、Marcoのバスドラ4つ打ちに乗せてJohnがF♯のルート弾きを始める。そう、これは第1期UKのステージで演奏されながら、バンド分裂の結果Bill Brufordのリーダーアルバム"One Of A Kind"に収録された3曲のひとつだ。ギタリストAlexのソロスポットがなかった代わりなのだろうか。彼のAllan Holdsworth風ギターが光る。どうせならForever Until Sundayとか、最終期のWaiting For YouやWhen Will You Realize?も演奏したらどうかと思った。しかし、こういうレアな選曲は嬉しい。これにて本編終了のようで、メンバーはカーテンコールして去っていく。

16. Night After Night
もちろん、本編が終われば観客は「UK! UK!」とコールする。これは79年以来の不文律だ。そして、不文律と言えば、プログレのライブにおいて、観客はアンコールになってようやく、立ち上がることを許される。僕は最初から不文律を破りっ放しであったが…!メンバーがステージに戻ってくる少し前、僕の頭の中にアンコール1曲目がこの曲だという予想が浮かんだ。その通りで嬉しい。もちろん、キメに合わせて拳を振り上げつつヘッドバンギングしっ放しだ。Eddieの高速アルペジオが、1か所音が出なかった。もちろんこれも愛らしいのだ。伸びのあるオルガンソロは、やっぱり最高!…なお、16日はこの曲に代わってNothing To Loseが演奏されたとのこと。

17. The Only Thing She Needs
会場の誰もが、続く曲はNothing To Loseだと思っていたに違いない。しかし、この曲も聴きたいだろう?最初の変てこ4拍子ユニゾンから、全員の奮闘が美しい。この曲はUKでもトップクラスに好きな曲。もちろんヘッドバンギングは止まるわけなかった。しかし、この曲の後半でのJohnのベースの音が冴えなかったのが残念でもある。あのブリブリサウンドを全開にして「ミレ♯レシラ♯ラソ ミレ♯レシラ♯ラソ」とカマして欲しいんだ。Eddieはイエロー・クリスタルのバイオリンで粘っこいソロを炸裂させる。最後のフレーズをAlexのギターに任せてオルガンソロへ。ここは後半、Alexのギターソロがかぶせられる。個人的には蛇足だが、彼の見せ場が少なかったのでいいだろう。ああ、みんなカッコよすぎだ!

18. Rendezvous 6:02
4人がステージ前方で、カーテンコール。いや、帰さないぞ!だってステージ中央右に、キーボードがセットされているじゃないか!…というわけで、しつこい「UK! UK!」コールにお応えしてJohnとEddieが残る。この曲はEddieのピアノとJohnの歌だけで再現された。そんなアレンジはASIAやICONでもやっているが、やはりここは作曲者のEddie。格の違うピアノプレイだ。まるでベースやシンセサイザーも鳴っているようなピアノアレンジ。さすがである!最後の曲にしちゃ寂しすぎるがな!…18日の追加公演では、この曲をアンコール1曲目に持ってきて、続いてNight After Night、Nothing To Loseを演奏したのだそう。そのセットリストが良かったよう…。18日はJohnの喉の調子が悪かったながらも、気合でBook Of Saturday以外の全曲をやりきったんだって!




サイン会の抽選に漏れちゃったので、涙を拭き拭き家路につき、でもちょっと呑みたい気分になったので途中下車して某ロックバーにて終電を逃しました。それにしても…

UK、サイコダヨ~~~~!

ああ、最初からもう1回観たい…。

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