カツカレー研究
それは、一本の動画から始まった。原文はこちら。
僕は普段は日本のカレーはあまり食べない。
決して嫌いなわけではない。
でも、あまり食事の時にカレーライスを選択肢として挙げることはない。どちらかといえばインドのカレー、それもとりわけ南インドのヴェジカレーを選ぶことが多い。まあ、インドの料理をカレー呼ばわりすることさえ躊躇する、そんな男だ。
しかしこの動画を見て、
「ヘロイン中毒者がヘロインを注射するのが大好きなのと同じように、私は日本のカレーを愛している。ヘロイン中毒との唯一の大きな違いは、ヘロイン中毒は長期間ヘロインを断てば中毒でなくなる点だ」
とか、
「ゴーゴーカレーのカレールーは、東京で一番というほどではないが、上位の部類に入る味だ。熱々で甘くて風味にあふれ、クリーミーで豊かな味がする」
とかいう表現を目にしてしまったらば、そりゃあもう食べたくなる。
もちろん、スタンドタイプのカレー専門店で、カツが乗ったヤツだ。
そういうわけで…
動画の影響で、まず行きたくなったのはゴーゴーカレーだったのだが、思い立ったこの日、行動範囲内に店は無かった。Chris Kohlerは「日本では、5分歩けば必ず1軒は見つかる」と書いているが、アメリカ人特有の誇張表現だから信じるな。
そういうわけで、僕が最初に選んだのはC&Cカレーだ。
悪くはない。しかし、これは単に「カツが乗ったカレーライス」に過ぎない。カツがカレーを、カレーがカツを美味くしていない。決して悪くはないのだが、どこか満たされぬ気持ちを誤魔化しきれぬまま、僕は店を出た。
ゴーゴーカレーへの憧れと美化の症状は、日を追うごとに重くなっていった。これは恋といってもよかったのかもしれない。せめて…そう、せめて同じ系列の金沢カレーを口にしないことには、この渇望はきっと収まらないのだろう。そんな時に、静岡での仕事のあと、クライミングで汗でも流そうと車を走らせていたときに見つけたのが、この「レイジーカレー」。
…金沢カレーなら何でも良かった。…そう思いながら僕はスプーンでカツ、キャベツ、カレー、ライスを組み合わせた状態で口に押し込んだ。
これは!確かにカツがカレーを!カレーがカツを!素晴らしいアンサンブルだ。カレーソースのパンチのある、しかし主張しすぎない旨味とスパイシネスがカツの美味さを膨らませていく。カツの脂がカレーに更に奥行きを与えていく。程よいさらし加減のキャベツも、このカレーを胃もたれすることなく食べさせる仕事人だ。その後長距離ドライブをして壁を登った僕の胃をほんのり暖め続けた。そう、愛のように。うそ。言い過ぎました。
後日調べてみたら。レイジーカレーというこのお店はチェーン店ではなかった。そして公式ブログをみて分かる、ただ事ではない気合。まったく、恐れ入る。
ここ最近、憧れだったゴーゴーカレー。新宿本店は最近の行動範囲に入っていなかったので、高田馬場駅前店にて。
何故だろう。想像していたほどの感動が無い。
レイジーカレーの方が美味しかったのかもしれない。
他の店舗でも確認する必要があるな…。
とはいえ、最近発見した新理論
「日本のカレーは、カツが乗ってこそ完璧な料理となる」
を、改めて証明するだけのレベルの味ではあった。
さて、しばらく経ってカツカレーブームは収まったらしく、
カレ衛もんに行っても「カツ煮カレー」を頼もうとは思わないし、
最近はカレーライスよりもこういうのをよく食べている。
さらば、カツカレーよ。また逢う日まで。
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